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かえるのゴムぐつ

新編風の又三郎

宮沢 賢治

線上閱讀宮沢 賢治《新編風の又三郎(かえるのゴムぐつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,031 字 · 84 頁

青空文庫

林はまたしずまりかえりました。よくよく梢をすかして見ましたら、やっぱりそれは梟でした。一疋の大きなのは、林の中の一番高い松の木の、一番高い枝にとまり、そのまわりの木のあちこちの枝には、大きなのや小さいのや、もうたくさんのふくろうが、じっととまってだまっていました。ほんのときどき、かすかなかすかなため息の音や、すすり泣きの声がするばかりです。

ゴホゴホ声が又起りました。

「ただ今のご文は、梟鵄守護章というて、誰も存知の有り難いお経の中の一とこじゃ。ただ今から、暫時の間、そのご文の講釈を致す。みなの衆、ようく心を留めて聞かしゃれ。折角鳥に生れて来ても、ただ腹が空いた、取って食う、睡くなった、巣に入るではなんの所詮もないことじゃぞよ。それも鳥に生れてただやすやすと生きるというても、まことはただの一日とても、ただごとではないのぞよ、こちらが一日生きるには、雀やつぐみや、たにしやみみずが、十や二十も殺されねばならぬ、ただ今のご文にあらしゃるとおりじゃ。ここの道理をよく聴きわけて、必らずうかうか短い一生をあだにすごすではないぞよ。これからご文に入るじゃ。子供らも、こらえて睡るではないぞ。