輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
たびへのいざない
旅への誘い
織田 作之助
線上閱讀織田 作之助《旅への誘い(たびへのいざない)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,734 字 · 12 頁
喜美子は洋裁学院の教師に似合わず、年中ボロ服同然のもっさりした服を、平気で身につけていた。自分でも吹きだしたいくらいブクブクと肥った彼女が、まるで袋のようなそんな不細工な服をかぶっているのを見て、洋裁学院の生徒たちは「達磨さん」と称んでいた。
しかし、喜美子はそんな綽名をべつだん悲しみもせず、いかにも達磨さんめいたくりくりした眼で、ケラケラと笑っていた。
「達磨は面壁九年やけど、私は三年の辛抱で済むのや。」
三年経てば、妹の道子は東京の女子専門学校を卒業する、乾いた雑布を絞るような学資の仕送りの苦しさも、三年の辛抱で済むのだと、喜美子は自分に言いきかせるのであった。
両親をはやく失って、ほかに身寄りもなく、姉妹二人切りの淋しい暮しだった。姉の喜美子はどちらかといえば醜い器量に生れ、妹の道子は生れつき美しかった。妹の道子が女学校を卒業すると、喜美子は、「姉ちゃん、私ちょっとも女専みたいな上の学校、行きたいことあれへん。私かて働くわ。」という道子を無理矢理東京の女子専門学校の寄宿舎へ入れ、そして自分は生国魂神社の近くにあった家を畳んで、北畠のみすぼらしいアパートへ移り、洋裁学院の先生になったその日から、もう自分の若さも青春も忘れた顔であった。