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にほんのでんせつ

日本の伝説

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《日本の伝説(にほんのでんせつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 頁

青空文庫

。というわけは、このお堂へは、母になって乳の足りない女の人が、多くお参りをして来たのでありました。そうしてお礼には小さなつぐらといって、赤ん坊を入れて置く藁製の桶のような物を持って来て、堂の側の青木の枝にぶら下げますがその数はいつも何百とも知れぬほどあるといいます。この神様も地蔵と同じように、非常に子供がお好きであるということで、何かという時には、村々から多くの児童が集って来たということです。あんなこわい顔をした不動様でも、姥神と一しょに住めばつぐらの子の保護者でありました。お盆になると少年が閻魔堂に詣るのも、やはりあの変な婆さんがいるからでした。(頸城三郡史料。新潟県西頸城郡名立町)

日本は昔から、児童が神に愛せられる国でありました。道祖も地蔵もこの国に渡って来てから、おいおいに少年の友となったのは、まったくわれわれの国風にかぶれたのであります。子安姫神の美しく貴いもとのお力がなかったら、代々の児童が快活に成長して、集ってこの国を大きくすることも出来なかった如く、児童が楽しんで多くの伝説を覚えていてくれなかったら、人と国土との因縁は、今よりも遙かに薄かったかも知れません。