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いっすんぼうし

日本の古典童話

楠山 正雄

線上閱讀楠山 正雄《日本の古典童話(いっすんぼうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,747 字 · 50 頁

青空文庫

今晩は何しろ急なことで、おけいこをして来ませんでしたから、明日の晩までには、ゆっくりおさらいをしてまいりましょう。」

こういうと、その時右手の三ばんめに座っていた鬼が口を出して、

「いいや、ああはいっても、その場になると横着をきめて出てこないかも知れません。約束を違えさせないために、何か、しちに取っておいてはどうでしょう。」

といいました。

おかしらは、

「なるほどそれはいいだろう。」

とうなずきました。

「それでは何がいいだろう。何を取り上げておいたものだろう。」

と鬼どもは、わいわい相談をはじめました。

「烏帽子がいい。」という者もありました。

「斧はどうだ。」という者もありました。

おかしらはみんなの騒ぐのを止めて、

「いや、何よりもいちばん、あのじいさんのほおの瘤を取るのがいいだろう。瘤は福のあるものだから、じいさんのいちばんだいじなものに違いない。」

といいました。

おじいさんは心の中では、「しめた。」と思いながら、わざとびっくりした風をして、

「おやおや、とんでもないことをおっしゃいます。目玉を抜かれましても、鼻を切られましても、この瘤を取ることだけはどうかごかんべん下さいまし。