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いっすんぼうし

日本の古典童話

楠山 正雄

線上閱讀楠山 正雄《日本の古典童話(いっすんぼうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,747 字 · 50 頁

青空文庫

二

「おかあさんに別れた上に、こんなへんな姿になるとは、何というかわいそうな子供だろう。」

こうおとうさんはいって、鉢をかぶった姫さんの姿を、悲しそうな目で見ていました。

おとうさんのそんな心持ちを察しない世間の人たちは、姫さんがへんな姿になったのをおもしろがって、「鉢かつぎ、鉢かつぎ。」と、あだ名を呼んであざ笑いました。

二

しばらくすると、おとうさんは、親類やお友達にすすめられるまま、二度めの奥方をもらいました。

こうしておとうさんはだんだん、先の奥方を忘れるようになりました。でも鉢かつぎはいつまでもおかあさんのことが忘れられないで、時々思い出しては、寂しそうな顔をしていました。こんどのおかあさんはそれをにくらしがって、

「まあ、鉢を頭にかついだへんな子なんか、みっともなくって、わたしの娘だとはいわれないよ。」

といいました。そのうち奥方にも子供が一人生まれました。そうなるといよいよ鉢かつぎ姫をじゃまにして、姫がああしました、こうしましたといっては、ありもしないことを、おとうさんに告げ口ばかりしていました。

鉢かつぎ姫は、このごろではもうおとうさんにさえきらわれるようになって、この世の中に頼る人もなくなりました。