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いっすんぼうし
日本の古典童話
楠山 正雄
線上閱讀楠山 正雄《日本の古典童話(いっすんぼうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,747 字 · 50 頁
中将はいよいよふしぎにお思いになって、
「お前はどこから来たのだ。どうしてそんなへんな姿になったのだ。」
とお聴きになりました。けれども鉢かつぎは、自分のほんとうの身分をいえば、おとうさんの恥になることを思って、ただ、
「交野の近くにおりました卑しい者の子でございます。たった一人の母親に別れて、毎日泣き暮らしておりますうちに、どうしたわけか、ある日空から鉢が降ってきて、頭に吸いついて、このようなへんな姿になってしまいました。」
といいました。中将はふしぎなことがあるものだ。そしてこれから、いったいどこへ行くつもりだとおたずねになりました。
「一人の母親に別れては、外に頼る者のない身の上でございます。それにこのような姿になりましてからは、だれも気味を悪がって、かまってくれます者もございません。」
と鉢かつぎはいいました。中将は、
「それは気の毒だ。わたしのうちへ来るがいい。」
といって、鉢かつぎを連れてお帰りになりました。
中将のお屋敷へ連れられて行くと、女中がしらが鉢かつぎを見て、
「お前、何か覚えたことがあるかい。」
とたずねました。鉢かつぎが子供の時、おかあさんから習ったことは、昔の御本を読んだり、和歌を詠んだり、琴や琵琶をひいたりすることばかりでした。