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かにのかい

日本の怪談(二)

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本の怪談(二)(かにのかい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 80,664 字 · 171 頁

青空文庫

妖怪記

お作の家には不思議なことばかりがあった。何かしら家の中で躍り狂っているようであったり、順序を立てて置いてある道具をひっかきまわしたり、蹴散らしたり投りだしたり、また、お作がやっている仕事を何者かが傍から邪魔をして、支えたり突きやったり、話していることを傍で耳を立てて聞いていたり、それを仲間同士で嘲ったり、指をさして笑ったり、それは少しも眼には見えないけれども、何かしら奇怪なことばかりであった。

お作は不安で心配でたまらなかったが、さてどうすることもできなかった。ところで某夜、寝かしていた女の児が顔でもつねられたか、耳でもひっぱられたかと思うように大声で泣きだしたので、眼を醒してみると、小供の枕頭から煙草の煙のかたまったような小坊主が、ひょこひょこと起ちあがって往くようになって消えた。お作は魔物の正体を見たように思ったが、朝になってみるとそれが夢のようにも思われだした。

雨のぼそぼそと降る夜であった。お作が便所に往っていると、便所の簷下で背に何かものが負われたように不意に重くなった。お作がその機によろよろすると、重いものはずり落ちたようになって体は直ぐ軽くなった。