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あべいちぞく
日本の文学 3 森鴎外(二)
線上閱讀森 鴎外《日本の文学 3 森鴎外(二)(あべいちぞく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,545 字 · 140 頁
例年簷に葺く端午の菖蒲も摘まず、ましてや初幟の祝をする子のある家も、その子の生まれたことを忘れたようにして、静まり返っている。
殉死にはいつどうしてきまったともなく、自然に掟が出来ている。どれほど殿様を大切に思えばといって、誰でも勝手に殉死が出来るものではない。泰平の世の江戸参勤のお供、いざ戦争というときの陣中へのお供と同じことで、死天の山三途の川のお供をするにもぜひ殿様のお許しを得なくてはならない。その許しもないのに死んでは、それは犬死である。武士は名聞が大切だから、犬死はしない。敵陣に飛び込んで討死をするのは立派ではあるが、軍令にそむいて抜駈けをして死んでは功にはならない。それが犬死であると同じことで、お許しのないに殉死しては、これも犬死である。たまにそういう人で犬死にならないのは、値遇を得た君臣の間に黙契があって、お許しはなくてもお許しがあったのと変らぬのである。仏涅槃ののちに起った大乗の教えは、仏のお許しはなかったが、過現未を通じて知らぬことのない仏は、そういう教えが出て来るものだと知って懸許しておいたものだとしてある。お許しがないのに殉死の出来るのは、金口で説かれると同じように、大乗の教えを説くようなものであろう。