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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
「芸者ともどこか違うしねえ」
「そりゃ芸者と違うさ。この間鳥安に連れていった時に鳥安の女中が黙って笑っていたが、これは淫売をつれて来たなと思ったのだろう。少し眼のこえた者には誰れが見てもすぐそれと分るもの」
柳沢はしきりにお宮のことを気にして話をする。柳沢がそんなに女というものに興味を持って話をするのは、まだ一緒に学校にいっている時から十年の余知っている仲だが、ついぞこれまでに聞かぬことである。
「これは、よっぽど執心なのだナ」と、私は、ますます柳沢の心が飲み込めて来るにつれて、どうしてもこれは吾々の間に厭な心持ちのすることが持ち上らずにはいない。困ったことだと、ひそかに腹の中で太息を吐いていた。
「それでもこの間歌舞伎座の立見につれていってやったら、ちょうど重の井の子別れのところだったが、眼を赤くして涙を流して黙って泣いていた。あれで人情を感じるには感じるんだろう」
柳沢は、そのお宮の涙をしおらしそうにいった。
「歌舞伎座にもつれて行ったの?」
「うむ」
「いつ?」
「やっぱりこの間鳥安につれて行った時に」柳沢は済まない顔をして、そういって、ちょっとそこをまぎらすように「立見から座外に出ると、こう好い月の晩で、何ともいえないセンチメンタルな夜だった。