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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
内の娘はそんなところへ出て往く用はない」といって、またいつもの悪態を吐く。
それを聞くと、私は、とても箸にも棒にもかからぬわからずやだとは、承知しているので、もう、なるべく母親とは、何をいわれても、口を利かぬ、相手にもせぬようにしておろうと堪えていても、やっぱり堪えきれなくなって、私は、上り框に下りかけたまま、
「何をいう」と、そっちを振り顧って、「きっと、そんなことだろうと思っているのだ。よし、そんならもういい。もうどんなことがあってもここを立ち退かないのだから、いつまでもここに居据っていましょう。……お隣りの親方、御免なさいよ」と、いって、私はまたもとの座に戻って坐った。
すると越前屋の親方は、
「まあ、ほんなら、兄さんちょっと私のところへ往てとくれやす。私が引き受けて一応お話をしてみますよって。お母はんも、もう、ちょっと静かにしてとくれやす。隣家が近うおすよって。そのことは私が、後でよう聴かしてもらいます」
と、いって、双方を宥めようとする。
それで私はまた物わかりのよい子供のように素直に、隣家の主人のいうことを聴いて、
「それではちょっとお宅へ往ってお邪魔をしていますから、どうぞよろしく頼みます」