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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
もう何にもありやしません」
老婆さんは、何しに来たかというように言った。
だんだん減っていた私の所持品といっては小さい荷車一つにも足らなかった。小倉は暇にまかせて近いところを二度に運んでいった。
そうなくてさえ薄暗い六畳二間ががらんとして荷物を運び出した後がまるで空家のように荒れていた。
私は老母さんのぶつぶつ言っているのを尻目にかけながら座敷に上って喪心したようにどかりと尻を落してぐったりとなっていた。
家外は静かな暖かな冬の日が照って、どこかそこらを歩いたらば、どんなに愉快だろうと思うようにカラリと空が晴れていた。
ようやく立ち上って私はそこらの家ん中を見てまわった。すると台所の板の間に鼠入らずがあるのに気がついて、
「ああ、これは高い銭を出して買ったのだ」と思いながら、方々の戸棚を明けて見るといろんな物が入っている。よく二人の仲が無事であった時分に私が手伝って西洋料理をこしらえて食べた時のパン粉やヘットの臭いがして、戸棚の中に溢れている。
小袖斗の中には新らしい割箸がまだたくさんにある。
「お客に割箸の一度使ったのを使うのは、しみったれていますよ。