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うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁

青空文庫

あんな安いものはない。それでもよく黒くなったのを出す家がありますよ。私はあんな人気が知れない」

そういって割箸の新しいのなどには欠かさなかったお前の効々しい勝手の間の働き振りなどを、私はふと思い起してしばらくうっとりと鼠入らずの前に立ち尽して考え込んでいた。すると、

「なんです?」

老母さんが四畳半の部屋から顔を窺けて私が鼠入らずの前に突っ立って考えているのを見て

「あなたその鼠入らずまで持っておいでなさるんですか? それはおすまにやるんじゃありませんかおすまにやるとおいいなすったんじゃありませんか」

口の中で独語でもいうようにぶつくさいった。

私は癪に障ったから、道具屋を呼んで来てそいつを叩き売ってやろうという考えが起った。

なるほどこれはお前にやるとはいったことはあるようだが、矢来の老婆さんのところに来ての話しにも

「お姑さん、こんど雪岡が来たら、そういって所帯道具などは安い物だ。後腐りのないように何もかも売ってしまうようにいって下さい。あんな物がいつまでも残っていてしょっちゅう眼についているとかえっていろいろなことを想い起していけないから」

と、そういっていたというのを思い浮べたから、私は外の通りに出て古道具屋を探したが、一軒近くにあった家では亭主が出ていて、いなかった。