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にほんのび

日本の美

中井 正一

線上閱讀中井 正一《日本の美(にほんのび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,126 字 · 187 頁

青空文庫

アリストテレスのヒエラルキーの考えかたは、それを代表したものであって、すべての関係は身分的に不動であって、階段があり、秩序があって、いかなる関係の組み替えも許されない。概念の構造もそうであるが、芸術も、この本質の模倣の模倣といったように、この根底的な世界への姿勢から割りだされた行動がそのころの世界観であったようである。

氏族が崩壊して、奴隷制に移りかけた六・七・八世紀はもっと違っていたであろう。世界観そのものが裂け目の中に混乱して、さきにのべたエスキロス、エウリピデスの悲劇がその裂け目の行動性として生まれたので、ターレスがこの世界を水と呼び、ヘラクライトスは世界を火と口走った時代である。この世界は火のごとく水のごとく動揺していたものと考えられる。

アリストテレスの時は動乱中の動乱であったが、すでにマケドニア王アレキサンダーの師として、彼は新たな国家論を説くべく役目をもっていたので、このソクラテス以前のギリシャの味方ではない。だからこの考えかたは真のギリシャの世界観とはいえないかもしれない。アテネのすべてのギリシャ人に憎まれたアリストテレスはむしろ、マシュー・アーノルドが指摘するように、のちのすべての欧州の国王、英国の国家論として生き残ったともいえるかもしれない。