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あゆむ

日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)

戸田 豊子

線上閱讀戸田 豊子《日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)(あゆむ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,183 字 · 44 頁

青空文庫

「僕、竹田ですよ、いつか兄さんのとこでお目に掛りましたね」、一人が、とも子の警戒心をもぎとるように、早口にそう言った。

「ああ」とも子はお叩頭して、「兄はぐっすり眠ってますよ」

「僕等、平井君と九時頃此処で落合う約束でした」

「今起して来ましょう、熱があるってアスピリンを飲んだもんですから、ぐっしょり汗をかいて寝てますわ――」

「じゃ、その儘にしといた方がいいですね」

「何しろ碌に寝なかったんだからな、僕らが来たことだけ言っといて下さい、朝またここへ来ますから」

「構わないんですか、一寸起して来ましょうか――」

二人は振りもぎる様にして帰って行った。

兄は壁の方へ傾いて逞しい腕で胸を圧しつけて眠っていた。とも子は一時間許り読書し、それから掻巻だけで机へつっ伏して寝た。

朝早く、自動車が迎えに来た。

「私にもビラ撒きを手伝わしてくれない?」

「そんなことしてお前が首になったら、おっ母さんと俺が困るだけさ――」

走る自動車のなかでとも子は晴々しい気持になった。昨夜の二人が運転台にいた。

「としちゃんがガソリン屋になったんだって?」

「あ、やってるよ」

ビルデングの前で停めて貰った。