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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《日本合戦譚(あねがわのかっせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 頁
二人とも十文字の槍だったが、小笠原の十文字稍々長かった為めに、黒坂が十文字にからみとられ、既に危く見えたのを、小笠原槍を捨て、太刀をひきぬいて、備中守の兜を真向に撃ち、黒坂目くるめきながら、暫しは鞍にこらえけるを、二の太刀にて馬より下へ斬って落す。黒坂撃たれて、朝倉勢乱れ立ち、全軍危く見えし所に、真柄十郎左衛門及び長男十郎三郎直基馳け来って、父は太郎太刀、子は次郎太刀を持って縦横に斬り廻ったので、徳川勢も左右に崩れ立ったので、越前勢漸く虎口を遁れて姉川を渉りて退く。真柄父子殿して退かんとする所に、徳川勢の中より匂坂式部同じく五郎次郎同じく六郎五郎、郎党の山田宗六主従四人真柄に馳け向う。真柄「大軍の中より只四人にて我に向うことかわゆし」とて取って返す。式部手鑓にて真柄が草摺のはずれ、一鑓にて突きたれど、真柄物ともせず、大太刀をもって払い斬りに斬りたれば、匂坂が甲の吹返しを打ち砕き、余る太刀にて鑓を打落す。式部が弟五郎次郎、兄をかばわんとて、立ち向うを、真柄余りに強く打ちければ、五合郎が太刀を元より斬り落し、右手の股をなぎすえた。五郎、太刀の柄ばかり握って、既に危く見えけるを、弟六郎と宗六透間もなく救け来る。