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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《日本合戦譚(あねがわのかっせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 頁
此は元来北条氏の伝統的作戦であって、遂に軍議は籠城説に決定した。
そこで直ちに箱根方面の防備は固められた。先ず要鎮の一である韮山城は、氏政の弟、氏則が守り、山中城には城将松田康長の外に、朝倉景澄等の腹心の諸将を派遣して居る。朝倉景澄、この時秘かに心友に向い、山中城は昨年以来相当に修繕はしてあるが、秀吉の大軍にはとても長く敵することは出来ぬ、今我等宿将を此処に差し向けるのは、爪牙の臣を敵の餌食にする積りだろうと云って歎じたと云う。重臣ですらこれである。一般の士気は察すべきだ。
三月二十八日、秀吉は沼津を発して三島を過ぎ、長久保城に入って家康と軍議を凝らして居る。小田原攻撃の前哨戦は、先ず誰が見ても此の山中、韮山二城の奪取でなければならない。
山中城に対する襲撃は、三月二十九日の早朝に始まって居る。寄手は秀次を先鋒にして堀尾吉晴等の猛将が息をもつがせずに急襲した。秀吉は此の時、遙か後の山上に立ち、あれを見よ、あれを見よとばかりに指さし、臀を引捲り小躍りしたと云うから、相当に目覚しい攻撃振りだと思われる。もっとも臀をまくるのは秀吉の癖である。一挙にして揉みつぶしてしまった、秀吉の得意思うべきである。