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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《日本合戦譚(あねがわのかっせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 頁
原倉、伊倉に一大隊を置き、あとは悉く高瀬まで退いたのが午後六時である。此日猛烈な戦闘で昼食をとる暇がなかった。指揮官野津大佐は、敵弾を、一つは革帯に、二つは軍刀に受けた程である。薩軍の勝ではあったが、篠原が此戦に死んだ事は、薩軍の士気に関するもので大打撃であった。此日、篠原国幹は、外套の上に銀かざりの太刀を佩び、自ら刀を揮って指揮したのだが、官軍の江田少佐がその顔を知って居って、狙撃させて斃したのであった。その江田少佐自身も数弾を浴びて戦死して居る。
越えて六日には、早朝から、田原坂、二俣を攻撃したが、一進一退、容易にこれを抜く事が出来ない。高瀬に在る野津大佐は、四十数名の選抜隊をして夜六時、二俣口の船底山の塁を、間道から襲撃させた。これは成功して隊長本多中尉は、敵塁に火を放って占領を報じて、更に背後の塁を衝かんとしたが、薩軍の抜刀して襲来すること三回に及んで、果すことが出来なかった。薩軍では抜刀隊を組織して居る事がわかったので、官軍も之に応じて、別働狙撃隊を新に編成した。
七日、官軍の援兵大いに来って、歩兵は三十二個中隊に及んだので、新手をもって次ぎ次ぎ攻めたてた。