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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,649 字 · 27 頁
三右衛門はこう続けた、
「その人たちには私が栄えない役を勤め、いつまでも貧寒でいることが気のどくにみえるのです、なるほど人間は豊かに住み、暖かく着、美味をたべて暮すほうがよい、たしかにそのほうが貧窮であるより望ましいことです、なぜ望ましいかというと、貧しい生活をしている者は、とかく富貴でさえあれば生きる甲斐があるように思いやすい、……美味いものを食い、ものみ遊山をし、身ぎれい気ままに暮すことが、粗衣粗食で休むひまなく働くより意義があるように考えやすい、だから貧しいよりは富んだほうが望ましいことはたしかです、然しそれでは思うように出世をし、富貴と安穏が得られたら、それでなにか意義があり満足することができるでしょうか」
弥生は身ぶるいをした。こめかみのあたりが白くなり、緊張のあまり顔つきが硬ばった。廂を打つ雨の音はやみもせず高くもならなかったが、気温はぐんぐん冷えて、膝や手足の指は凍えるように思えた。
「……おそらくそれだけで意義や満足を感ずることはできないでしょう、人間の欲望には限度がありません、富貴と安穏が得られれば更に次のものが欲しくなるからです」