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にほんばしふきん

日本橋附近

田山 花袋

線上閱讀田山 花袋《日本橋附近(にほんばしふきん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,383 字 · 37 頁

青空文庫

十三

鏡花君がひどく酔って仙女香のところから京橋あたりを一晩中彷徨して夜を明かした話などを私はまたしても思い起した。

『丸で知っている妓はいなくなってしまったね。心細いな……やっぱり何かあると、それをきっかけに、止さずにいても好いやつをぐん/\止して行ってしまうんだね。Sなんか引いてしまったのはさびしいな』

『そのくせいる妓はいつまでもいるんですけどもね』

こんなことをいって、Mはそこにあった紙刷物を引寄せた。

ここの感じはどっちかといえば、静かで好かった。それも川向うとか井の頭とか丸子園とかいうあたりの静けさとは違って、混雑の中にうずめられたといったような静けさ――にぎやかさの静けさ更にいい換えれば、あらゆるものの整った上にひとりでにかもされて来る静けさといったようなものだった。食物の上にも、また三味線や唄などの上にも従ってどこか安心して落付いて座っていられるというようなところがあった。――そこに一番先にかけたHが『今晩は!』といって入って来た。

十三

八重洲橋のなくなったのは、そう古いことではないが、それでもあそこにそういう橋があったなどとは誰も想い出しもしないようである。