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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

自分自身で自分をメチャクチャにこきおろして、どうですといったふうに聴手の困るのを痛快がる。みじん見得はないようで、そのくせ見得ばりで、それがせめてもの自棄した修飾である。鼻っぱりの強い意気地なしなのである。

寄席の高座にのぼる江戸風軽口の話口をきくと、大概みんな自分の顔の棚下しや、出来そくなった生れつきのこきおろしをやる。それがみんな本気だと思ったらおめでたすぎる、全部が全部みな徹底した市井の聖人だとおもうものもなかろう、とおなじで、生活惨敗者は自己をこきおろして自慰する。そこまで察してやらないものは、厭がらせばっかりいう人だと鼻っつまみにする。あの時代の藤木さんもそんな風にとられもしたが、家のものたちも彼が小心で正直ものなのは許しきっていた。子供は変なところで対手の直情に面してしまうものだから、対手を職業や、その折の境遇で見直したり見違えたりはしない。それにあたしがアンポンタンで無口だったということが、彼に自分の子供の前より安心させ気楽に思わせたのかも知れない。

自宅にいると皮肉やで毒舌で、朝から晩まで女房に口小言をいっている藤木さんも、アンポンタンには馴染深い面白い大人だった。