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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

花火の風船のように飛んでしまった。はじめの牢屋の原へ帰ろう。中洲に賑いをとられない前は、牢屋の原が小屋がけ見世もの場でさかっていた。つとめて土地の不浄を払おうとしたのであろう。表通りの鉄道馬車路を商家にし、不浄門(死体をかつぎ出した裏門)のあった通りと、大牢のあった方の溝を埋めて、その側の表に面した方へ、新高野山大安楽寺と身延山久遠寺と、村雲別院と、円光大師寺の四ツの寺院を建立し、以前の表門の口が憲兵屯所で、ぐるりをとりまいたが、寺院がそう立揃わないうちは、真中の空地に綱わたりや、野天の軽業がかかっていた。

その中でも、蝋燭屋一蝶という仕掛け怪談話が非常にうけた。そまつなつくりではあったが、寄席在よりも広いくらいな地どりで、だんだん半永久に造り直していって、すっかり座れるようになっていた。寄席と違うのは、客席の前の方――入口近くでも曲芸をやり高座でもやるのだ。籠抜け――あるいは白刃を縦横に突通し、ある時は蝋燭の灯を透間なく、横筒の蛇籠のように長い籠にならべて、その中を桃色の鉢巻きをした子供が、繻子の着物に袴をつけて、掛声もろとも難なく飛抜ける。