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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

直にかけかえる手数はいとわなかった。一たい、平日から油染んだ髪をきらっていたから、菅糸だって、葛引だって、金紗(元結ぐらいな長さの、金元結の柔らかい、縒のよい細いようなのを、二、三十本揃えたもの。芝居の傾城の鬘にかけてあるのと同じ)だって、プツンと断って、一ぺんかけただけだった。

深窓な育ちでも、どこか女伊達めいた気風をもって、おそろしく仁義礼智の教えを守って――姿の薄化粧のように、魂も洗おうとした。この二行ばかりの文章は、文飾のようにもとられようが、濃かれ薄かれ、そんな気持ちはたしかにあったのだ。人と、その性質は別としても、その地方色としては――

古い日記をくりかえして見ると、父が話してくれたことが書いてあるので、此処へ抜いて見よう。

――父の晩酌のとき、甥の仁坊のおまつりの半纏のことから、山王様のお祭りのはなしが出る。仁の両親とも日本橋生れで、亡なった母親は山王様の氏子、此家は神田の明神様の氏子、どっちにしても御祭礼には巾のきく氏子だというと、魚河岸から両国の際までは山王様の氏子だったのが、御維新後に、日本橋の川からこっちだけが、神田明神の氏子になったのだと、老父が教えてくれた。