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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 158,045 字 · 322 頁

青空文庫

私はお稽古を待っているうち中、うらさびしさにボンヤリしていた。六喜美さんのところは上り口に赤い鼻緒のポックリが足も入れられないほど並んで、入口の三畳でふうちゃんが下ざらいをしているし、八畳の隅でなっちゃんが出来ない子に撥をもってやって教えているし、おしょさんの前にはあとからあとからとおじぎをして出てゆくし、私は縁側で、千なりほおずきをとったり、石菖に水をやったりして怒られたり褒められたり、お手だまをとったり、みんなで鞠をかがったり、千代紙で畳んだ香箱へ、唄の出来ないところへ貼りつける細かい紙を刻んだり、おちぢれをこしらえたり、お三宝だの菊皿だのと、時間なんて気にもしなかったのに――だが、古新聞はそれらにました悦びを与えた。あたしは善兵衛さんに手伝って、いつになく機嫌よく壁張りの手伝いや見物や助言をした。それは逆さまだ、こっちの面へ糊をつけた方がよいのと。

古新聞が壁にはられてからあたしはせっせと稽古に通うようになった。番がきてもなかなか座らない。おまけにお弟子がすけないからいつも私の番がすぐにある。私は這入ってゆくにも足音を忍ばせて、こんちはも言わないで壁にゆく。