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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《早稲田大学(わせだだいがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 頁
――彼は胸の奥ふかくかくした左文字の短刀に指の先でさわっていた。その夜夕飯がすむと、岩木が、どうじゃ、吉原へ行ってみんか、――と誘いかけたが、恒喜は、
「どうも」といって頭をかいた。「胃がわるくて元気がないからやめときましょう」。
恒喜は壁に脊を凭せかけ、膝を両手で抱えたまま眼を瞑じていた。
吉原に馴染の女があるらしく、岩木は、そんならゆっくり寝るがいい、おれはぶらりと歩いてくる、とあっさりうけながし、手鞄の中から持薬の「毒消丸」をとりだして来島にわたした。来島は岩木が浴衣の上からうすい羽織をひっかけ、玄関に出てゆくうしろ姿を見送ってから、女中の敷いてくれた蒲団の中へごろりと横になったが、妙にそわそわして寝つかれず、一日一刻がじっとしていられないような焦躁にせき立てられてきたのである。
一人になって考えてみるとやっぱり頭にうかんでくるのは博多でわかれた星成の顔だ。――こうしてはいられぬと思うと、彼はすぐはね起きて着物に着替え、今から芝にいる友人を訪ねるから岩木がかえってきても心配しないように言ってくれと女中に伝言をたのんで、小さい風呂敷を持ったまま外へ出た。