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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《早稲田大学(わせだだいがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 頁
岩橋が自分の力の及ぶかぎり必ず尽力するといって別れてからまだ二時間あまりしか経っていなかった。
しかし、今となっては、もはや防ぐべき道はない。辛うじて彼の出来ることは何処という目標を持たぬ学生の波が、大隈侯爵邸の前をしずかに素通りしてくれるようにと、先登に立った男たちを説得することだけである。そのとき、動きだした群衆の最初の列は鶴巻町の大通りへさしかかっていた。高張提灯が前へ前へと、右に左にぐらつきながら動きだしたと思うと、こんどはどこからか、大運動会のときに使う優勝旗が群衆の先頭に立った。その列だけが、狭い下戸塚の坂をのぼってゆく。ふかい樹立のかげから家々の灯かげが点々とうかんでいる。月のいい晩で、大気はもう水のようにつめたかった。月あかりに照らしだされた坂道にはもう秋の気配がみちみちている。西方現助はいつの間にか下戸塚の坂をのぼる列の中に加わっていた。どこへゆくのか見当もつかぬ。やがて前に動く群衆の歩調が少しずつゆるやかになったと思うと、先に立った優勝旗が小さな門の前でぴたりととまった。西方現助は群衆を押しわけるようにして前へ出ていった。そのとき、表の木戸があいて、彼の眼の前に着物を着た永井柳太郎の全身がうかびあがった。