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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
線上閱讀尾崎 士郎《早稲田大学(わせだだいがく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 頁
宴席には人の姿が入りみだれ、びっこをひいた安場の顔は何処にあるのかわからなかったが、しいんと大気をひきしめるようにひびいてくる博多節の音じめさえ、さすがに浪人や書生たちの酒宴の席に聴くボロ三味線とはちがっておのずから一つの格を示している。やっているな、――と思うと、杉山の顔にはかくしきれぬ微笑がうかんできた。兎にも角にも安場を此処まで引きずりだしてきた力が自分の胸三寸にあったと思うと、誰に対してともなく、ざまァみやがれ、という気持がどっとこみあげてきたのである。
そのまま杉山は茶室の濡れ縁の方へ廻った。――その夜、同志の来島と星成とそこで会食する手筈になっているのだ。時間には少しおくれたが、杉山は無造作な声で、
「よう」。
と呼びかけながら入っていった。若い妓をよんで、よろしく接待させるようにと女中に頼んでおいたのだが、部屋の中には小卓を挟んで、双肌脱ぎになった星成喬太郎と、垢じみた棒縞の手織木綿の単衣に茶っぽい小倉袴をつけた来島が不興そうな顔をして向いあっている。
「何や」。
片手で団扇をつかいながら星成がとげとげしい声でいった。「二時間も客を待たしといて、あんた何処をうろついて御座った?」