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あかるきせかいへ

明るき世界へ

小川 未明

線上閱讀小川 未明《明るき世界へ(あかるきせかいへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,747 字 · 16 頁

青空文庫

一 小さな芽

一 小さな芽

小さな木の芽が土を破って、やっと二、三寸ばかりの丈に伸びました。木の芽は、はじめて広い野原を見渡しました。大空を飛ぶ雲の影をながめました。そして、小鳥の鳴き声を聞いたのであります。(ああ、これが世の中というものであるか。)と考えました。

どれほど、この世の中へ出ることを願ったであろう。あの堅い土の下にくぐっている時分には、同じような種子はいくつもあった。そして、暗い土の中で、みんなはいろいろのことを語り合ったものだ。

「早く、明るい世の中へ出たいのだが、みんながいっしょに出られるだろうか。」と、一つの種子がいうと、

「それはむずかしいことだ。だれが出るかしれないけれど、あとは腐ってしまうだろう。しかし出たものは、死んだ仲間の分も生きのびてしげって、幾十年も、幾百年も雄々しく太陽の輝く下で華やかに暮らしてもらいたい。もし、二つなり、三つなりが、いっしょに明るい世界へ出ることがあったら、たがいに依り合って力となって暮らしそうじゃないか。」と、他の種子が答えました。

みんなは、その種子のいったことに賛成しました。しかしみんなが明るい世界を慕ったけれど、そのかいがなく、土の上に出ることを得たものは、ただ一つだけでありました。