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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,354 字 · 49 頁
後先をとりちがえずに、落附いて、やるがいいぜ」
「ハ。ありがたき幸せにござります」
虎之介は思わずニッコリと勇み立って、一膝のりだして語りはじめた。
★
藤兵衛は横山町の「花忠」という老舗で丁稚から叩きあげた番頭であったが、主家に重なる不幸があって、主人はわが家に火をつけて、火中にとびこんで死んでしまった。それが寛永寺の戦争の年だ。主家は没落したが、白鼠の藤兵衛は、自分だけは永年よろしくやっていたから、少からぬ貯えができている。年も、三十。独立して踏みだすには盛りの年齢であった。
人形町の今の場所に空き店があったから、それを買って、開店した。没落した主家の顧客を誰に遠慮なく受けつぐことができたし、自ら足を棒にして、新しい顧客を開拓した。商売は盛運におもむいて、店を立派に新築し、地つづきの裏店を買いとって、離れと、大きな土蔵をつくった。これを一時期にして、彼は土蔵の二階に居間をつくって、金庫と帳簿を抱えて住みつくことになり、店を番頭にまかせたが、彼には、彼のあみだした方針があった。
近所の横山町には小間物店の老舗がそろっている。シッカと年来の顧客をにぎって、微動もしない屋台骨を誇っている。