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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,336 字 · 47 頁
中橋英太郎といえば、今は時めく出世頭の一人。海外貿易商事や興行物ですごいモウケをあげているという評判の旦那だ。ズッシリ重い行李の中身は分らないが、虫蛇お化けでないことは確か。あるいは密貿易の秘密の財宝であるかも知れない。行李を預った車夫がモーローの捨吉だとはお釈迦様でも御存知ないから、次第によっては、そっくり頂戴に及んでもめったに発覚の怖れもなかろう。とにかくたって今夜の中に届けるにも及ぶまいから、まず一夜お預けをねがってゆっくり中身を拝ませていただこう、と、下谷万年町の貧民窟の自宅へ行李を持ちこんだ。
誰も嫁になる者のないヤモメ暮し。こういう時にはグアイがよい。途中の酒屋で買ってきた貧乏徳利から茶碗酒をガブ飲みして、ホロ酔いキゲン。充分に雰囲気をつくって、宝物を拝もうという捨吉にしては上出来の分別であったが、ヤッコラ、ドッコイ、スットコ、ドッコイと縄をといてフタをあけると、捨吉の奴、尻餅をついて腰をぬかしてしまった。中から現れたのは、見るも無残な女の他殺死体である。
捨吉はピックリ仰天、一夜マンジリともせず死体のかたわらで考えあかしたが、よい思案がうかばない。