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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,645 字 · 47 頁

青空文庫

いそいで御飯を三膳、お茶づけで召しあがって――お急ぎのときは、いつもそんなです。一二分で、かッこむように召しあがるのです。そして雲助に扮装あそばしてお出になる、三十分もたつかたたぬに、あの御有様でした」

新十郎は車夫をよんだ。

「御主人はおそく戻られたそうだが、どこへお連れしたのだえ?」

「烏森の夕月でした。何御用かは存じ上げません。ただ、お帰りのときに、まさか人のイタズラとは思われないが、生きているなら、どうして来ないのだろう。来ないワケはないがなア、と仰有っていました。夕月の女将に、誰それが見えたら、使いをよこすように、と仰有ってたようです」

訊問をうちきって、一行が帰りかけると、広間の階段の陰から現れた花のような娘があった。娘はツカツカと一行の前へすすみでて大胆に新十郎を見つめて、

「あなたが、大探偵?」

新十郎はまぶしそうに笑った。

「犯人は分りましたか?」

娘はたたみこんだ。

「残念ながら、手のつけようがありません」

新十郎が神妙に答えると、娘の目はもえるように閃いた。

「私、気絶していましたから、お父さまの死になさるのを見ておりませんが、虚無僧姿の田所様が介抱なさったそうですね」