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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,645 字 · 47 頁
「仰有る通りです」
「虚無僧には、きっと秘密があるものですわ。昔からそうなんですッて。その秘密をお探しなさるといゝわ。下男の弥吉じいやに、おききあそばせ」
そう言いすてると、お梨江は、自分の言葉にあわてた様子で、電光石火、逃げてしまった。
「あの方が、気絶した令嬢ですか。壺の中の蛇にねえ。気絶ですか」
新十郎は、つまらぬことを呟きながら考えこんだ。ふと気がついたらしく、
「兄の満太郎さんも、何かいいたげの様子でしたよ。あの兄妹はなにか訴えたいことがあるんですねえ。とにかく、弥吉じいやをよんでみましょう」
弥吉は六十に手のとどく、当家で最古参の使用人であった。病死したお梨江の実母には赤誠をもって仕えた忠僕であった。
「じいさん。ご苦労さまだね。こまったことになったなア。お前も心痛のことだろうよ。ところで、お嬢さんがお前に訊いてくれといって、大そう慌てた様子で逃げて行かれたんだが、田所さんという洋行帰りの油絵師に、どんな秘密があるのだえ?」
弥吉は新十郎を見つめていたが、
「お梨江嬢さまが私にきけと仰有ったのですね?」
「そうだよ。ハッキリ、そう仰有ったよ」
弥吉はゆっくり、うなずいて、鋭く新十郎を凝視した。