輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁
家主はあわててその腕を押えると、半七は委細かまわず又呶鳴った。
「ええ、構うものか、こんな稲荷……。さあ、焼くぞ、こんな燧石箱のような小っぽけな祠は、またたく間に灰にしてしまうぞ。野良狐が隠れているなら早く出て来い」
稲荷様もこれには驚いたのかも知れない。その声に応じて正面の扉がさっとあいた。しかも這い出して来たのは野良狐ではなかった。それは頭から煤を浴びた五十前後の男であった。
「お前は市丸太夫だろう。正直にいえ」と、半七はかれの腕をつかんだ。「どうも稲荷様の中でごそごそいうと思ったら、案の定こんな狐が這い込んでいた。さあ、番屋へ来い」
町内の自身番へ引っ立てられて行った男は、果たして彼の市丸太夫であった。かれはふところに小刀を呑んでいたが、その刃には血の痕がなかった。
「お前は富蔵を殺して、火をつけたのか」
「恐れ入りました」と、市丸太夫は白状した。「全くわたくしは富蔵を殺そうと存じてまいりました。しかし殺さないうちに火事が出て、富蔵は焼け死んだのでございます」
「なぜ富蔵を殺そうとした」
「わずかの金に差し支えましたのでございます」
かれは誤って富蔵の猫を殺した始末を正直に申し立てた。