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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁
八丁堀同心の岡崎からときどきに催促されて、半七も気が気でなかった。こうなったら仕方がない。まず行者一家の者どもを引き挙げて、それをぶっ叩いて白状させるよりほかあるまいと、かれは内々でその手配りにかかっていると、あしたが池上のお会式という日の朝、多吉があわただしく駈け込んで来た。
「親分、紙屋の息子が二、三日前から姿を隠したようです」
「行者はどうした」と、半七はすぐに訊いた。「まさかに駈け落ちをしたわけでもあるめえ」
「行者はやっぱり家にいます。それについて、行者の家の式部という奴がなにか紙屋へ掛け合いに行ったらしいんです」
そう云っているところへ源次も来た。
三
今度の事件については、多吉はとかく下っ引の源次に先を越されていた。源次は多吉の報告以上に、紙屋の息子が姿をかくした事件を詳しく知っていた。
源次の話によると、きのうの午過ぎにかの式部が炭団伊勢屋へたずねて来て、後家のお豊に厳重な掛け合いを持ち出した。それは当家の伜久次郎どのがお姫様に対して無礼を働いたというのであった。久次郎どのには怪しい獣の悪霊が付きまとっているので、それを祓うために毎夜秘密の祈祷を行なっていることは、おふくろ殿もかねて御存じの筈である。