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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁
「へえ、お化けの話……。そりゃあおめえの親類の話じゃあねえか」
「よせよ」と、半七は笑った。「ねえさん、堪忍してくんねえ。この野郎少し酔っているんだから。そこで、そのお化けがどうしたんだ。ここの家へ出るわけじゃあるめえ」
「あら、御冗談を……。たった今、家の旦那が堤で見て来たんですって。嘘じゃない、ほんとうに出たんですって、河童のようなものが……」
「え、河童だ」と、幸次郎もまじめになった。
半七はその主人をちょいと呼んでくれと云った。呼ばれて出て来たのは四十五六の男で、閾越しで縁側に手をついた。
「御用でございますか」
「いや、ほかじゃあねえが、おまえさんはたった今、堤で何か変なものを見たそうだね。なんですえ」
「なんでございましょうか。わたくしもぞっとしました。相手がお武家ですから好うござんしたが、わたくし共のような臆病な者でしたら、すぐに眼を眩してしまったかも知れません」
「河童だというが、そうですかえ」と、半七はまた訊いた。
「お武家は河童だろうと仰しゃいました。まあ、こうでございます。わたくしが業平の方までまいりまして、その帰りに水戸様前からもう少しこっちへまいりますと、堤の上は薄暗くなって居りました。