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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁

青空文庫

「むむ、三匹でもいいが、そうですね、もう二、三匹捕れませんかえ」

「今はここらにたくさん寄る時分ですから、二羽や三羽はすぐに捕れます」

「じゃあ、済みませんが、そこらへ行って二、三匹さして来てくれませんか。なるべく多い方がいい」

老人はその意味を解し兼ねたらしいが、云われるままに承知して、竹竿のぬれた黐を練り直していると、しぐれ雲はもう通り過ぎてしまったらしく、初冬の弱い日のひかりが路傍の藁屋根をうす明るく照らして来た。

「いい塩梅に日が出て来ました。これなら二羽や三羽は訳なしです」と、老人は空を見あげながら云った。

「なるべく多い方がいいんですね」

「と云って、二十匹も三十匹も要るわけじゃありません。まあ、五、六匹か、十匹もあればたくさんだろうと思うんです。そうすると、わたしはもう一度、あの蕎麦屋へ行っていますからね。雀が捕れ次第に引っ返して来てください」

約束して二人は別れた。半七はまた引っ返して蕎麦屋の前に来ると、むすめのお杉は暖簾から首を出して、仔細らしくこっちをうかがっているらしかった。

「おい、ねえさん。ちょいと用がある。こっちへ来てくんねえ」

半七は小手招ぎをして娘を呼び出した。