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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁

青空文庫

「もし、お前さんもここへ来て、茶でもお上がんなさい。ここの家じゃ何も出来ねえそうだから」

鳥さしの老人は、軒さきに黐竿を立てかけてはいって来た。その人をみると、辰蔵の眼は急に光った。

五

「はあ、大きな銀杏だな」

半七は茶を飲みながら往来をながめた。今までは気がつかなかったが、この店の筋向いには何か小さな祠のようなものがあって、その前の空地には可なり大きい銀杏の木が突っ立っていた。時雨を浴びた冬の葉は、だんだんに明るくなって来た日の下に、その美しい金色をかがやかしていた。

「なに、葉が落ちてしようがありませんよ」と、辰蔵は云った。

「だが、銀杏は冬がいい」

新らしい草履でぬかるみを爪立ってあるきながら、半七はその銀杏の前に立った。足の下には黄いろい落葉が一面にうず高くなっているのを、半七は何げなく眺めていたが、更に眼をあげて高い梢を仰いだ。そうして又うつむいて、何かその落葉でも拾っているらしかったが、やがて店のなかへ引っ返して来た。

「おい、御亭主。この頃に誰かこの銀杏の木へ登りましたかえ」

「いいえ、そんなことは無いようです」と、辰蔵は答えた。

「だって、小さい小枝がみんな折れている。