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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁

青空文庫

「とんだお景物だ」と、七兵衛は思った。しかしそのお景物の口から七兵衛は一つの手がかりを見つけ出した。それは長三郎の近所の獣肉屋へときどきに猿や狼を売りにくる甲州辺の猟師が、この頃も江戸へ出て来て、花町辺の木賃宿に泊まっている。かれは小博奕の好きな男で、水茶屋ばいりの資本を稼ごうとした長三郎が、かえって彼に幾たびか巻き上げられたということであった。

「その猟師はなんという男で、てめえはどうして識っているんだ」

「名前は作さんと云っています。たしか作兵衛と云うんでしょう」と、長三郎は云った。「わたくしが作さんと懇意になったのは、この月の初めに親方の使いで、猪肉を少しばかり内証で買いに行ったときに、作さんは店に腰をかけていて、おたがいに二タ言三言挨拶したのが初めです。それから二、三日経って、わたくしが宵の口に横網の河岸を通ると、片側の竹藪のなかへ作さんがはいって行こうとするところで、今そこで狐を一匹見つけたから追っかけて行こうとするんだと云いました」

「狐はつかまえたのか」と、七兵衛は訊いた。

「わたくしと話しているうちに、もう遠くへ逃げてしまったから駄目だと云ってやめました」