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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁

青空文庫

小僧に別れて、浅草の方角へ足をむけると、半七は往来で源次に出逢った。

「親分。舐め筆の娘はどっちも堅い方で、これまで浮いた噂はなかったようです」と、源次は摺り寄ってささやいた。

「そうか。時に丁度いいところで逢った。おめえこれから浅草へ行って、庄太にも手を貸してもらって、上州屋にいる奉公人の身許をみんな洗って来てくれ。男も女も、みんな調べるんだぜ。いいか」

「判りました」

「じゃあ、おめえに預けて俺は帰るぜ。大丈夫だろうな」

「大丈夫です」

それから二、三軒用達しをして、半七は神田の家へ帰った。近所の銭湯で汗を流して来て、これから夕飯を食おうとするところへ、お粂が来た。

「行って来ましたよ」

「やあ、御苦労。そこでどうだ」

「文字春さんのところへ行って訊きましたが、舐め筆の娘には姉妹ともに悪い噂なんぞちっとも無いそうです。親達も悪い人じゃあ無いようです」

それは源次の報告と一致していた。心中の事実は跡方もないに決まってしまった。

三

「でね、兄さん。文字春さんからいろいろの話を聴いているうちに、あたし少し変だと思うことがあるんですよ」と、お粂は団扇を軽く使いながら云った。