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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁
唯なぐって突き出したばかりじゃああるめえ。そこには又、仲裁するような奴が出て来て、兄い、まあ我慢してくれとか何とか云って、一朱銀の一つも握らせてくれたか」と、半七は笑った。
長助はやはり黙っていた。
「もうこうなったら隠すことはあるめえ。おめえは一体なんと云って、あの小屋へ因縁を付けに行ったのだ」
「あの時、飛んだところへ行き合わせて、わたしもいろいろ迷惑しました」と、長助は低い声で云った。「観世物の方はあの一件が評判になって、毎日大入りです。なんとか因縁を付けてやれと、友達どもが勧めますので、わたしもついその気になりまして……」
「だが、そりゃあちっと無理だな。そんな所へ行き合わせたのは、おめえの災難というもので、誰が悪いのでもねえ。それで因縁を付けるのは、強請がましいじゃあねえか」
半七の口から強請と云われて、長助はいよいようろたえたらしく、再び口を閉じて眼を伏せた。
「まあ、いい。おめえはどうで仕事を休んでいるのだろう。丁度もう午だ。そこらへ行って、飯でも食いながらゆっくり話そうじゃあねえか」
長助はおとなしく付いて来たので、半七は彼を大橋ぎわの小料理屋へ連れ込んだ。