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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

川を見晴らした中二階で、鯉こくと鯰のすっぽん煮か何かを喰わされて、根が悪党でもない長助は、何もかも正直に話してしまった。

「きょうのことは当分誰にも云わねえがいいぜ」と、半七は口留めをして彼と別れた。

その足で更に浅草へ廻ろうかと思ったが、ともかくも松吉や善八の報告を待つことにして、半七はそのまま神田へ帰った。

秋といっても、八月の日はまだ長い。途中で二軒ほど用達をして、家へ帰って夕食を食って、それから近所の湯へ行くと、その留守に善八が来ていた。

「どうだ。判ったか」

「大抵はわかりました」と、善八は心得顔に答えた。「駿河屋の女隠居には男があります。松の云う通り、女中は新参でなんにも知らねえようですが、わっしは近所の駕籠屋の若い者から聞き出しました」

「その男はどこの奴だ」

「葺屋町の裏に住んでいる音造という奴で、小博奕なんぞを打って、ごろ付いているけちな野郎ですよ」

「違うだろう」と、半七はひとり言のように云った。

「違いますかえ」

「いや、違うとも限らねえが……」と、半七は首をかしげていた。「そこで、その音造という奴は杉の森新道へ出這入りするのか」

「そんな奴が出這入りをしちゃあ、すぐに近所の眼に付くから、深川の八幡前の音造の叔母というのが小さい荒物屋をしている。