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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

寝床を敷きに来た小坊主に訊くと、住職の名は祐道、納所は善達と信念、寺男は弥七と云うのである。

「ほかの坊主はともかくも、和尚の面つきがどうも気に入らねえ」と、留吉は寝ながらに考えた。

外の風の音はまだ止まないで、枕もとの雨戸も時々に揺れるように響く。その庭さきで何やら人の争うような物音がきこえた。猫や犬が狂っているのではない。確かに人と人とが挑み争っているのである。

留吉は寝床から這い出して、なおも聴き耳を立てていると、そとの人は息をはずませて争っている。さらに障子をそっとあけて、縁側まで這い出して雨戸越しに窺うと、外の人は二人であるらしく、一人は男、一人は女であることも、その息づかいで大かたは想像された。かれらは得物を取って闘っているのでなく、空手の掴み合いであるらしかった。

夜ふけの寺の庭さきで、男と女が息を切って掴み合い、むしり合っている。それだけでも唯事ではない。留吉は雨戸の隙間から覗いてみようと燥ったが、何分にも戸締まりが厳重に出来ている上に、長い縁側の戸袋は遠いところにあるので、そこまで這って行って雨戸を繰り明けるのは容易ではなかった。