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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

いつの間にか日も落ちて、あたりはだんだんに薄暗くなって来たので、きょうの詮索はこれまでとして、二人は寺を出た。門を出るときに見かえると、花屋の前にはかのお住が立っていた。奥の暗い行燈の下で夕飯を食っている五十前後の男が、お住の父の定吉であるらしかった。

「親分。どうですね」と、小半丁もあるき出した時に亀吉は訊いた。

「あの住職め、いやに殊勝らしく構えているので、なんだか番狂わせのような気もしたが、あいつはやっぱり狸坊主だな」と、半七は笑った。「源右衛門という寺男は駈け落ちをしたと云うが、可哀そうに、もう此の世にはいねえだろう」

「坊主共が殺ったのかね」

「手をおろした訳でもあるめえが、どうも生きちゃあいねえらしい。そこで、亀。おれはこれから真っ直ぐに帰るから、おめえは門前町をうろ付いて、あの寺の奴らについて何か聞き込みはねえかどうだか探ってくれ。それから、小坊主、智心とか云ったな。あいつの事を調べてくれ」

「小坊主……。初めから仕舞いまで黙って突っ立っていた奴でしょう」

「そうだ。どうもあいつの眼つきが気に入らねえ。黙ってぼんやり突っ立っているように見せかけて、あいつの眼はなかなか働いていた。