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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

「おい、亀。しっかりしてくれ」と、半七は笑い出した。「おめえにも似合わねえ。それだけ種が挙がっているなら、なぜもうひと息踏ん張らねえ。よし、よし。おれがもう一度出かけよう」

「出かけますかえ」

「むむ。一緒に来てくれ」

五ツ半(午前九時)頃に二人は再び小石川へ出向いた。その途中で何かの打ち合わせをして、高源寺の門前に行き着くと、地蔵堂はきのうの通りに鎖されていた、門内にはいると、花屋の定吉と納所の了哲が鋤や鍬を持って何か働いていた。

「なにを働いているのです」と、半七は近寄って声をかけた。

二人は不意に驚かされたように顔を見合わせていた。殊に定吉は吃であるから、こういう場合、すぐに返事は出ないらしい。了哲も渋りながら答えた。

「けさの雨で、ここらの土が窪みましたので……」

「ははあ、土が窪んだので、埋めていなさるのか」

云いながら眼を着けると、土はところどころ落ちくぼんで、それがひと筋の道をなしているように見られた。更に眼をやると、その道は墓場につづいて、ある墓の前に止まっているらしい。古い墓の石塔は倒れていた。

「もし、この墓は無縁ですかえ」

「そうです」と、了哲はうなずいた。