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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

半七は引っ返して花屋の前に来ると、お住は奥から不安らしい眼をして覗いていた。

「おい、姐さん。ちょいと顔を貸してくれ」

お住を誘い出して、半七は墓場のまん中へ行った。そこには大きい桐の木が立っていた。

四

「おい、お住。おめえの姉さんは何処にいる」と、半七はだしぬけに訊いた。

お住は黙っていた。

「隠しちゃあいけねえ。ひと月ほど前に、おめえが姉さんと一緒に茗荷谷を歩いていたのを、おれはちゃんと見ていたのだ。その姉さんは何処にいるよ」

お住はやはり黙っていた。

「姉さんは殺されて、地蔵さまに縛り付けられていたのだろう」

お住ははっとしたように相手の顔を見上げたが、また俄に眼を伏せた。

「その下手人をおめえは知っているのだろう。おれが仇を取ってやるから正直に云え」

お住は強情に黙っていた。

「あの無縁の石塔を引っくり返して、その下から抜け道をこしらえて、地蔵を踊らせたのは誰だ。おめえの姉さんも係り合いがあるだろう。姉さんの色男は誰だ。あの俊乗という坊主か」

お住はまだ俯向いていた。

「俊乗が姉さんを絞めたのか。一体おめえの姉さんは生きているのか、死んだのか」