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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

長三郎は飛んだことに係り合った為に、勿論その両親から厳しく叱られたが、今さら取り返しの付かないことである。それよりも気にかかるのはかの藤助の身の上で、万一その口から当夜の秘密を世間に拡められては面倒である。長八はその翌朝、長三郎を遣わして藤助の在否をさぐらせたが、彼はゆうべから戻らないと云うので、むなしく引っ返して来た。

「どうもおかしいな」

長八はきょうもそれを云い出した。伝兵衛の葬式を済ませた翌日の朝である。かの一件以来、寒い風が意地悪く毎日吹きつづけていたのであるが、けさはその風も吹きやんで俄かに春めいた空となった。長八が自慢で飼っている鶯も、朝から籠のなかで啼いていた。

「もう一度、行ってみましょうか」と、長三郎は父の顔色をうかがいながら云った。

「むむ。あの晩ぎりで、藤助のゆくえが知れないと云うのは、どう考えてもおかしい。あいつも殺されたのかな」

「さあ」と、長三郎もかんがえた。「殺されたのでしょうか」

「殺されたかも知れないぞ」

「それならば、どこからか死骸が出そうなものですが……」

「それもそうだな……。といって、仔細もなしに姿を隠す筈もあるまい。