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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

ところが、その旦那には女房がある。これがお定まりのやきもちで、いろいろのごたごたが起る。その挙げ句の果てに、女房は二日の晩にこの大川へ飛び込んだ。亭主もいい心持はしねえから、毎日この川へ覗きに来る。お光も寝覚めが悪いから、ひょっとすると、その枕もとへ女房の幽霊でも出るのかも知れねえ。そこで自分も大川へ来て、人に知れねえように南無阿弥陀仏か南無妙法蓮華経を唱えている。話の筋はまあこうだ。大道占いはどんな卦を置いたか知らねえが、おれの天眼鏡の方が見透しの筈だ。おい、どうだ。おれにも幾らか見料を出してもよかろう」

「恐れ入りました」と、お光はふるえながら微かに答えた。

「おい、幸」と、半七は笑った。「恐れ入りましたと云う以上は、弱い者いじめをしちゃあいけねえ。これからはお互いに仲良くするのだ。そこで、お光。その旦那というのは何処の人だ」

「田町でございます」

「浅草の田町だな」

「はい。袖摺稲荷の近所で……」

「なんという男で、何商売をしている」

「宗兵衛と申しまして、金貸しを商売にして居ります。おもに吉原へ出入りをする人達に貸し付けているのだそうで……」

「じゃあ、小金を貸しているのだな、身上はいいのか」