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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

だんだんに容態が悪くなって来るらしい。その頃のことですから、近所に医者もないので、夫婦は有り合わせの薬なぞを飲ませて介抱した。そこは人情で、夫婦も見識らない旅の男を親切に看病してやったらしいんです。

その看病の効があったのか、一時はむずかしそうに見えた病人も、明くる朝からだんだんに落ちついて、その日の午飯には粥を食うようになったので、まあ好かったと喜んでいると、七ツ下がり(午後四時過ぎ)になってから、旅の男はもうすっかり快くなったから発つと云い出した。秋の日は短い、やがて暮れるという時刻になって峠を越すよりも、もうひと晩泊まって養生して、あしたの朝早く発っことにしたら好かろうと勧めたが、男はさきを急ぐとみえて無理に振り切って出て行った。その別れぎわに、男はきのうから世話になったお礼をしたいが、路用は手薄であるし、ほかには持ち合わせも無いから、これを置いて行く。しかし今すぐに使ってはいけない。まあ半年ぐらいは仏壇の抽斗へ仕舞って置くがいいと、謎のようなことを云い残して、一本の大きい蝋燭をくれて行きました」

「それが例の蝋燭なんですね」

わたしは待ち兼ねて、思わず口を出した。