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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

「名はなんといって、どこから来るのだね」

「名は……八さんといっていますが、八蔵か八助か判りません。なんでも矢口の方から来るのだそうで……」

「矢口か。矢口の渡しなら六蔵でありそうなものだが……」と、庄太は笑った。

「まぜっ返すなよ」と、半七は横目で睨んだ。「そこで、その八蔵とか八助とかいう男は幾つぐらいだね」

「二十五六だろうと思いますが……。なにしろ一年に一度か二度しか廻って参りませんので……」と、女房は言葉をにごした。

こちらが余りに詮索するので、相手は一種の不安を感じて来たらしい。こうなっては詮議も無駄だと諦めて、半七は帰り支度にかかった。

「奥の怪我人には挨拶をせずに帰るから、あとで宜しく云っておくんなさい」

「かしこまりました」

勘定を払って、二人はここを出た。

「親分は頻りに鶏の売り主を詮議していなすったが、なにか眼を着けた事でもあるんですかえ」と、庄太はあるきながら訊いた。

「別にどうということもねえが……。今の一件で、おれがふいと考えたのは、あの鶏と、あの女と……なにか因縁があるのじゃあねえかしら……」

「ふむう。そんな事もねえとも云えねえが……」