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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

「そこで、ここの主人を殺したという剃刀はどうしました」

「それは往来に落ちているのを拾いまして、検視のお役人にもお目にかけましたが、そんな物を家へ置くことも出来ませんので、お寺へ持参して何処へか埋めていただきました」

「その剃刀は若いおかみさんがふだん使っていたのですかえ」

「いえ、あとで調べてみますと、ふだん使っていた剃刀は鏡台のひきだしにはいって居りました」

「この騒動のおこる前に、なにか変った事はありませんか」

「その朝から若いおかみさんの様子がすこし変でしたが……」

「それは私も聴いているが、ほかに何かありませんでしたか」

「実は二度ばかり盗難がございまして……」と、勘兵衛は小声で云った。「これは店の者にも知らさないようにして居るのでございますが、今月になりまして二度……。何分にも盆前で店の方も取り込んで居りますので……」

「どのくらい取られましたえ」

「一度は二百両、二度目は百八十両……。御承知の通り、ひる間は土蔵の扉があけてありますので、店が取り込んでいる隙をみて、何者かが忍び込んだものと見えます」

「いくら取り込んでいるといっても、こちらの店で真っ昼間、土蔵へはいって金を持ち出すのを、知らずにいるとは油断過ぎるな。