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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

彼は御親類たちに合わせる顔も無いと云って、久兵衛が葬式の日にも、初七日の墓参の日にも、自分から遠慮して参列しなかった。ひとり娘を失った上に、今度は鍋久からの仕送りも絶えるのであるから、彼も定めて難儀であろう。所詮は一種の因縁で、すべての人の不幸であると、勘兵衛は凋れながら話した。

「今日はこれで帰りましょう。おかみさんを大事におしなさい」と、徳次は帰り支度にかかった。

「ありがとうございます。就きましては、もう時分どきでございますから、ほんのお口よごしでございますが召し上がって頂きとう存じます」

いつの間にか云い付けてあったと見えて、料理の膳がそこへ運び出されたので、徳次も半七も箸をとった。そのあいだにも、お節のことに就いて徳次はいろいろのことを訊いていた。品川から来たという男の人相や年頃なども訊きただした。

「食べ立ちで失礼だが、御用が忙がしいからお暇をします」

飯を食ってしまうと、二人は怱々にここを出て、新堀の川伝いに、豊海橋から永代僑の方角へぶらぶら歩いて行った。こんにちの永代橋は明治三十年に架け換えられたもので、昔とは位置が変っている。江戸時代の永代橋は、日本橋の北新堀から深川の佐賀町へ架けられていたのである。